高血圧とは、診察室で測定した血圧が140／90mmHg以上、あるいは家庭で測定した血圧が135／85mmHgを越えて高くなることを指します。

高血圧はその原因により、本態性高血圧と二次性高血圧に分けられます。

二次性高血圧を考える特徴としては重症、あるいは内服治療になかなか反応しない高血圧であることや、若年での発症、急激な発症などがあります。二次性高血圧症は原因が同定できれば、その原因に対しての治療を行うことによって効果的に血圧を低下させることができるため診断がとても重要になります。

高血圧に特有の症状は、ほとんどありません。血圧が高度に上昇した場合、頭痛や視力の低下、吐き気といった症状を伴うことがあります。このような場合は血圧高値に関連して臓器障害が進行している場合は高血圧緊急症、臓器障害の進行のない場合は高血圧切迫症として緊急での治療対応が必要となる場合があります。

血圧の測定方法には、診察室で測定する診察室血圧と、診察室以外の場所（持ち運びができる自動血圧計を用いたり、自宅などで測定したりする）で測定する診察室外血圧の2種類があります。診察室血圧と診察室外血圧に大きな差がある場合には、診察室外血圧を優先します。

二次性高血圧が疑われる場合は尿検査、血液検査による各種ホルモン、クレアチニン、電解質、血糖値の測定、腹部の超音波検査を行います。これらの検査は全て当院で行うことが可能です。またさらにCT検査や核医学検査が必要となる場合もあります。

1生活習慣の改善

生活習慣の改善では、たとえば、以下のようなことが推奨されます。

• 塩分は6g／日未満に控えましょう。日本人の平均食塩摂取量は10g/日であり意識して改善することが大切です。
• 野菜や果物を積極的にとり、コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控えます。これらは個々では降圧効果が弱いのですが、組み合わせることによって有意な降圧が期待できるとされています。
  ※ただし、野菜や果物の積極的な摂取は、重症の腎障害をお持ちの方には推奨されません。また果物は摂取カロリーの増加につながることもあるので、糖尿病の方には推奨されません。
• BMI25未満の適正体重を維持することが推奨されます。
• 毎日30分以上を目標に、定期的に有酸素運動療法を行うよう指導されることがあります。
• アルコールを控えましょう。大量の飲酒は高血圧症に加えて脳卒中やアルコール性心筋症、心房細動、夜間睡眠時無呼吸症候群、がんの原因にもなるので節酒が必要です。
  エタノールは男性 20-30ml/日以下、女性10-20ml/日以下が目安です。
• 禁煙しましょう。喫煙は高血圧症だけでなく循環器疾患のリスクにもなります。

2薬物治療

生活習慣の改善で血圧が下がらない場合、薬物治療を行います。薬物治療では、降圧薬と呼ばれる血圧を下げる薬を用います。複数の降圧のための薬剤を糖尿病、慢性腎臓病、心機能低下、心筋梗塞、頻脈性不整脈、左室肥大などの基礎疾患による積極的適応や禁忌、慎重投与となる病態に合わせて、それぞれの方に合わせて選択していきます。

3原因となる病気の治療

二次性高血圧であった場合、その原因となる病気によって治療方法は様々です。病気の治療によって原因を取り除くことで、血圧が下がる場合もあります。たとえば、内分泌性高血圧は、腎臓のそばにある副腎に腫瘍ができ、ホルモンが過剰に分泌されることで起こります。この場合は手術を行うことにより、治癒を目指すことが可能です。
また、腎血管性高血圧症は、腎動脈が狭くなり、腎臓へ行く血液が少なくなることで起こります。主に若い人にみられるような線維筋性異形成によって腎動脈が狭くなっている場合には、カテーテル治療で血管の狭くなった部分を広げることで、高血圧が改善されることもあります。

高血圧症は一般的な病気であり、内科であれば診察可能です。しかしその中でも特に循環器内科は高血圧を専門領域としています。当院では「血圧がなかなか下がらない、二次性高血圧が心配、複数の病気があり自分に合った血圧の薬を知りたい」などのご希望がある場合に専門医として、それぞれの方に合った高血圧の検査・治療を提供させていただきます。血圧高値が気になる方はお気軽にご相談ください。